研究概要 |
生動物における内耳蝸牛電気生理実験:小動物の内耳に確実に電極の挿入が困難であり、この成功確率を上げるするため、顕微鏡による内耳の観察が必要となった。そこで、研究費用を前倒しして、顕微鏡の購入をおこなった。これにより技術は飛躍的に改善し、内リンパ電位の測定が確実に行える環境が整った。 Ca2+電極による電気生理実験:応募者が過去に行ったイオン電極によるK+濃度の測定法を応用すれば、実現が可能であると考えた。しかし、Ca2+交換液を二連管ガラス電極に充填し、基準溶液での電位反応の妥当性を評価したが、理想的なCa2+の検量線が得られなかった。イオン電極の作成について、現在改良を行っているところである。 蝸牛内Ca2+動態に連関する蝸牛K+循環システムの理解:蝸牛Ca2+動態には、Ca2+チャネルの動態が欠かせない。また、そのチャネルの理解に関係して、K+動態の解明を押し進める必要がある。そこで、これまで明らかにされていなかった蝸牛らせん靭帯のK+動態への貢献を明らかにする方針をとった。顕微鏡の導入により改良された製動物実験をもとに、K+輸送分子の阻害剤を用いて、らせん靭帯におけるK+輸送分子の寄与の解明にあたっている。以前にNa+,K+ATPaseの貢献が明らかにされていたが、さらにNa+,K+,2Cl-共輸送体の貢献について、新知見が得られている。
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