小金銅仏について、美術史研究における様式論から一歩踏み込み、鋳造や彫金の加工跡を見極め、その傍証となる写真撮影を行って、造像技術について検討した。 結果、五胡十六国の小金銅仏の衣文線は、毛彫り鏨で施されたものであるが、北魏時代の衣文線は鏨で施されたのではなく、原型施文か鋳型施文によるロウ型鋳造である可能性を指摘した。 つまり、五胡十六国の古式金銅仏と北魏の作例における線を比較すると、鏨による線彫りから原型施文あるいは鋳型施文による鋳造へと変化がみられた。それは鋳造技術の発達と複雑に絡み合った結果であると思われる。この2年間の研究により、その基礎的な方法論は確立できたと考えている。
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