近年,データ計測技術の発展に伴い,人工物や生物における物質や情報の流れを幾何学的に表象し,その成り立ちを調査する研究が盛んに行われている.とりわけ,それらのネットワークは,リンクがランダムな構造ではなく,むしろモジュラー構造を有していることが明らかになってきた. 本研究では,ノイズに対するロバストネスとモジュラーネットワーク進化の関係を寄与することを数値シミュレーションおよび数理解析により分析した.(1)ノイズを付与した線形モデルにおける適応制御を理論的に解析した.その結果,システム外部(入力)から混入するノイズとシステム内部(状態変化)で発生するノイズに対する,両方の低感度設計間のトレードオフ関係が,ネットワーク進化に制約を与え,その制約がシステムマトリックスにモジュラー構造を露呈させることを示した.(2)ノイズに対する低感度設計により,モジュラーネットワークが進化しうる示唆を得た.
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