研究課題/領域番号 |
25870261
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
岡 芳美 富山大学, 先端ライフサイエンス拠点, 特命助教 (30470115)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ラジカルペア / 磁気センシング / 脂質ラフト / クリプトクロム / フラビン |
研究概要 |
渡り鳥の渡りの方角を決定している高感度磁気レセプターを模倣し、微弱磁場センシング・システムの構築を目指している。渡り鳥の高感度磁気レセプターとして、有力視されている青色光受容体タンパク質クリプトクロムにおいては、フラビンとトリプトファンの位置関係が重要である。本研究課題で、脂質ラフトのモデル膜を利用し、マイクロドメイン場におけるフラビン‐トリプトファン間の特異的、または選択的な位置関係を誘導することを試みた。このときの磁気受容機能に至る一連の化学反応を精査することにより、微弱磁場センシング・システムの構築が可能であると考え、課題を遂行した。平成25年度は、主に、①本課題で着目しているマイクロドメイン(相選択性)を可視的に評価する方法の確立、②適切な化合物系の設計、探索を行った。具体的には、以下の事項を実施した。 ① Electroformation法で巨大一枚膜ベシクルを作製し、共焦点レーザー顕微鏡の観察により、蛍光プローブの相選択性を評価できる実験系を確立した。 ② 脂質ラフトモデル膜の脂質、組成について、上記観察に適した条件を検討した。 ③ トリプトファンを含有するパルミトイル修飾ペプチド核酸(PNA)の設計を行い、秩序液体相(マイクロドメイン)に選択的に集積することを確認した。また、ベシクルのPNA取り込みに関して条件検討を行った。 ④ 上記PNAと相補的なフラビン連結PNAを設計し、秩序液体相選択性を確認した。すなわち、フラビンプローブ(フラビン連結PNA)で、秩序液体相を染色することに成功した。 ⑤ 秩序液体相(マイクロドメイン)に選択的に集積するユニット構造持つフラビン化合物の設計を行った。反応途中段階の化合物で秩序液体相への集積を確認しているが、目的のフラビン化合物の合成、相選択性については今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脂質ラフト膜の組成、作製条件の検討、相選択性の評価、トリプトファン含有PNAの設計については、順調に進んでいる。フラビン化合物の合成、秩序液体相選択性の確認については完了しておらず、遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
① 秩序液体相(マイクロドメイン)に選択的に集積するユニット構造持つフラビン化合物の合成、相選択性の確認を行う。 ② 何種類かのトリプトファン含有PNAを用い、フラビンの代わりに、予めトリプトファンQuencherを用いた蛍光分光測定により、化合物系全体の設計について評価を行う。 ③ 青色光パルスレーザーを用いた時間分解過渡吸収測定により、フラビン‐トリプトファン反応系におけるラジカルペアの寿命(磁気センシング機能)の評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に前倒し請求を行い、平成26年度の実験でも使用するペプチド核酸の購入に充てたが、残額が生じた。 平成26年度に使用する試薬や測定のための消耗品の購入に使用する予定である。
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