研究課題
モラルは成長に従って獲得していくものであるが、発達障害を持つ場合、その獲得がうまくできないことが指摘される。その獲得不全の原因を脳機能計測の視点から明らかにするには、定型発達の小児と成人、さらに発達障害のある小児と成人を対象として、モラル判断時の脳活動を計測し、障害の有無と発達変化という二つの要因について比較・検討することが必要である。そして、今回の研究で使用した計測機器はミリ秒単位の時間分解能を持つ脳磁計(MEG)であるが、小児用のノイズが少ない全脳型MEGは日本では金沢大学のみが所有しており、これを小児用計測には使用した。基本的には呈示される3コマ漫画が終わるたびに、その内容に関する善悪判断を行ってもらっていたが、小児には実験中では無く、実験後に内容の確認を行い、成人では実験中のボタン押しによって、内容の確認および反応時間を取得した。最終年度は特に、データの不足している定型発達成人を中心にリクルートし、データの蓄積を行っている。また、先行研究によりオキシトシン投与でモラル判断に変化が起きる可能性が示唆されていることから、発達障害を持つ成人に関しても、金沢大学子どものこころの発達研究センターが行っているオキシトシン投与実験参加者にも参加して貰い、本来の対象であるオキシトシン投与前だけでなく、投与後に変容が見られる可能性を検討するために、データを蓄積している。今回はデータ収集が主になってしまったことから、今後はこのデータを分析・発表していくとともに、モラル獲得が必要な教育現場に応用して貰うために、附属小学校などと連携して、適切な形でデータをフィードバックしていくことを考えている。
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Psychiatry and clinical neurosciences
巻: 69 ページ: 153-160
10.1111