研究課題/領域番号 |
25870266
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
三浦 優生 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (40612320)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自閉症スペクトラム障害 / プロソディ / 文化間比較 |
研究実績の概要 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、中枢神経系の機能障害であるとされているが、現在の診断は行動的特徴に基づいてなされている。その診断基準である社会性やコミュニケーションを評価するにあたり、社会の中でのふるまいの「適切さ」の度合いは文化固有的な側面を持つことが考えられる。本研究では、ASD児のコミュニケーション能力の発達や評価におよぼす文化的影響を検討することを目的とした。当該年度の実施内容は以下の通りである。 1. 心理実験:欧米で検証された実験デザインをもとに、日本人ASD児を対象に感情プロソディ理解の発達を検証した。ローパスフィルタをかけ音韻情報を除いた加工音声を用い顔やモノ画像とのマッチングを求めたところ、定型発達児とは異なるパタンが明らかになった。 2.横断・縦断コーパスの作成:2012-2013年にフィクショナルナラティブのデータを収集したASD児および定型発達児を対象に、2年後の同様のデータを収集した。現在書きおこし作業にあたっており、今後CHILDESデータベースに公開されている欧米圏のデータを用い、語りの特徴について文化間比較を行う。 3.質問紙調査:ASD児、定型発達児の親を対象に質問紙を実施し、日常場面におけるこどものプロソディの使用や理解にかんする適切さについて評価を求めた。データは現在も収集中であるが、予備的なデータからは、場面に応じたプロソディの使用にかんする項目について、2群の差がみられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りデータ収集が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きデータ収集と分析を進める。得られたデータを他文化圏の報告と比較し、結果の相違点について考察していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
音声発話コーパスの作成に関する実験費・謝金を見込んでいたが、想定よりも多くのサンプル数が集まり作業が次年度に繰り越されることとなった。よって26年度に充てていた作業委託費について未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
これにかかわる作業を27年度に実施する為、未使用額を必要経費に充てるものとする。
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