ポリリジンにカルボキシル基を導入した両性電解質高分子を合成し、細胞の凍結保護効果があることを報告してきたが、その機序については不明な点が多かった。固体NMRを使用することで、両性電解質高分子が凍結に伴う急激な浸透圧変化を弱めるバッファーとして機能することで凍害保護作用を果たしている可能性が示唆された。精密重合の手法を用いて合成した両性電解質高分子にも凍結保護活性を持つ事を調べ、その機序が膜保護活性に関与することをリポソームとの相互作用から確認した。両性電解質高分子化合物は、既存の凍結保護物質とは異なる機序で凍結保護を行っている可能性があり、新しい凍結保護技術の創製に繋がることが期待される。
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