本研究では、セルロースエステルを用い、高分子フィルムの複屈折およびその波長依存性に対する側鎖の影響を調べた。まず、フィルムの調製方法により、側鎖であるエステル基の配向状態が異なり、複屈折の符号や波長依存性が大きく変化することがわかった。また、置換基や数の異なるセルロースエステルを用いることで、エステル基の構造や位置による複屈折への影響を明らかにした。さらに、低分子を少量添加することで、複屈折が増強されることも見出した。これは、低分子成分が高分子と協同的に配向するためである。また、相分離を用いてフィルム中にナノサイズの空隙を発現させることで、複屈折の符号を変化させることにも成功した。
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