研究課題/領域番号 |
25870269
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
三好 雅也 福井大学, 教育地域科学部, 講師 (50557353)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 地域地質 / 教育実践 / 福井県嶺北地域 / 火山岩 / 堆積岩 |
研究実績の概要 |
初等・中等教育現場における身近な地質を題材とした地学教育の充実を目指し,本研究では,小・中学校のICT設備から活用可能な地域地質データベース(地学ウェブ教材)の開発,およびそれを活用した地学教育手法の確立に取り組んでいる. 本年度は,嶺北地域海岸沿い(東尋坊,福良浜,越前松島,安東,雄島など)を中心として,野外調査および室内作業を行った.野外調査では,主に火山岩,堆積岩の露頭写真の撮影,GPSによる露頭位置情報の取得,岩石試料の採取を行った.室内作業では,岩石カッターと岩石研磨機を用いた岩石研磨片・薄片の作成,およびそれらのスキャン画像と偏光顕微鏡写真の撮影を行った.本年度調査により,冷却節理等の火山岩の主要な構造,水中火山砕屑岩および貫入岩-堆積岩の接触部等の画像データと,多様な岩質の火山岩試料および堆積岩試料を入手することができた.福良浜および安東の礫浜では,火成岩および堆積岩の円礫の採取も行った.また,上記で得られた露頭・岩石のデータを掲載・公開するためのデータベース兼ホームページ「ふくいジオスポット」を立ち上げた. 露頭・岩石の調査に加え,野外にて採取した県内の礫・砂を用いた地学授業の開発にも取り組んだ.本年度に開催された科学イベントや公開・出前授業の機会を利用して課題探求型授業を実施し,参加児童・生徒の反応をみることで地域地質素材の教材としての有用性について確認することができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,当初予定通り嶺北地域沿岸の複数地点において地質・地形データを得ることができた.本年度の調査結果も含め,特に嶺北地域のデータが充実してきているが,まだ全てのデータをホームページに掲載するには至っていないため,今後追加してゆく必要がある.地域地質素材を活用した授業実践については,最終年度に取り組む予定であったが,本年度中に児童・生徒らを対象とした公開・出前授業の機会が複数回得られたため,一部先取りして取り組むことができた.さらに,これら授業実践について学会・シンポジウムで発表した.上記を統合し,「おおむね順調に進展している」と評価する.
|
今後の研究の推進方策 |
嶺南北部を中心に,詳細な地質情報収集のための野外地質調査を実施する.また,前年度同様,岩質データ取得・堆積岩中の化石同定のために,岩石研磨片・薄片作成,実体顕微鏡・偏光顕微鏡観察等の室内作業を実施する.さらに,これまでに得られた岩石標本の岩質等を詳細に調べるため,一部の試料に対し化学分析を行う.これら作業により得られたデータをホームページに追加掲載する.地域地質素材を用いた地学授業についても,前年度に引き続き取り組む予定である.現在「恐竜渓谷ふくい勝山ジオパーク」と連携し,勝山市の小・中学生を対象とした次年度の地学授業計画を進めている.
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度末の野外調査で多数の岩石標本を入手したが,これらについて年度内に室内作業を完了させることができなかった.この作業のための費用を次年度使用額とした.
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度研究開始後の早い時期に追加岩石標本試料を対象とした室内作業に取り掛かる予定であるため,この作業のための費用として使用する.
|