研究課題/領域番号 |
25870272
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
藤田 聡 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60504652)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノファイバー / エレクトロスピニング / 配向制御 / 高密度培養 |
研究概要 |
本研究は,3次元的な組織構築を可能としたナノファイバーをベースとした基材の基盤技術開発をめざし,以下の項目の研究をすすめている。 (1)ナノファイバー上でのペプチドの分子配向と自己組織化の実証 本項目では,コラーゲンを対象とし,ファイバー中のペプチドの分子配向と自己組織化を実証し,架橋なしでのナノファイバーの高強度化・不溶化をはかるべく,2層構造を有するコアキシャルナノファイバーに着目した。これまでにエレクトロスピニング法で,コラーゲンを内層,PLLAを外層としたコアキシャルナノファイバーを作製する条件を確立することに成功した。作製したナノファイバーについて内層のコラーゲン分子の配向状態の解析をすすめている。 (2)生体組織を模倣した異方性の高い構造を模倣した新規な3次元ファイバー足場材料「バイオミメティック・ファイバー」の創製と機能評価 本項目では,厚みのある3次元配向性ナノファイバー足場材料による3次元培養技術を検討した。当初血管構造類似の組織の構築を計画していたが,間葉系幹細胞の培養においてナノファイバーの配向性が分化挙動に影響を与えるという知見が得られたため,間葉系幹細胞と造血幹細胞の共培養を用いて,骨髄組織類似の構造を有する厚みのある高密度培養の可能性を検証することにした。多層に重ねたナノファイバーシート上で造血前駆細胞を間葉系幹細胞と共培養したところ,高密度で培養することに成功した。生体組織を模倣した配向性の高いナノファイバーシート上での造血前駆細胞の増幅数は,無配向のファイバー上での増幅数より高く,従来のディッシュ上での培養と比較して,高効率な増幅が可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ペプチド分子配向と自己組織化の実証においては,エレクトロスピニング条件の検討はおおむね予定通り遂行しているが,分子配向の解析についてはやや遅れている。「バイオミメティック・ファイバー」の創製と機能評価については,血管壁類似構造を当初ターゲットにしていたが,別の研究で間葉系幹細胞を配向性により分化制御することに成功し,その成果を応用して,骨髄組織類似構造の作製を目指すように研究の方向性をシフトした。これにより3次元培養技術の開発については,当初の予定より進んでいる。総合して,おおむね研究は計画通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ペプチド分子配向と自己組織化の実証においては,ひきつづきナノファイバー作製条件の検討をおこない,本年度は構造解析を重点的に実施する。3次元組織の構築では,当初予定していた血管壁類似構造の構築ではなく,本年度成果のあった骨髄類似構造の構築をすすめていく予定である。
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