研究課題/領域番号 |
25870273
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
長宗 高樹 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80397827)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 医療・福祉 / ソフトコンピューティング / 計測工学 |
研究概要 |
平成25年度の研究実施計画としては,主に次の2点であった.①ラインレーザーと単眼カメラを用いた三次元形状再構成の確立,②関節面形状のナビゲーションシステムの確立.①の意義は,従来ラインレーザーを用いた三次元形状再構成システムは,計測器の構造として数十cmのサイズが必要であった.本研究では約10mm程度の極小領域内において,同様のシステムの開発をすることで,内視鏡下においても対象の三次元形状を描出することにである.そうすることで,これまで内視鏡下においては奥行き情報の不明瞭さが手術に及ぼす影響があったが,それらを克服する重要性がある.申請時の予定では直径14mmとしていたが,現在はその半分の約7mmの円筒内にラインレーザーとカメラを内蔵することに成功している.②の意義は,これまで術者の経験や勘に大きく依存する部分を計算機によって定量的なガイダンスを行う事で,術者間及び術者内でのバラつきをできるだけ低減することにある.本年度では,既にユーザーインターフェースは作成しており,CTデータを元にした骨モデルの作成方法は発表を行った.そして,その骨モデルに対する三次元電磁気センサを用いたナビゲーションの開発も行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度の研究実施計画の①ラインレーザーと単眼カメラを用いた三次元形状再構成の確立において,現在,改善策を講じている状態である.①に関しては,当初予定では直径14mm内にカメラとレーザーを内蔵予定であったが,それを大きく向上させる直径5mm内にカメラとレーザーをファイバースコープを用いて内蔵した.その結果,カメラの撮像領域が大幅に狭められ,奥行き方向の情報が大きく誤差を含むものとなった.現在,この部分を改善するため,直径4mmのカメラを直接内蔵し,合計の直径が約7mm以内に収まるよう設計を変更した.この部分が上記区分の要因になっている.レーザーに関しては,赤,緑,青の3種のレーザーを用いて実験を行った所,空気中では赤のレーザーが最も精度が良い事が分かった.また,実施計画の②関節面形状のナビゲーションシステムの確立に関しては,当初目標を達成している.
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今後の研究の推進方策 |
前項目でも記載したとおり,ラインレーザーと単眼カメラを用いた三次元形状再構成システムの確立が,目下最優先事項となる.本年度の実施計画としては,システムの性能評価として,次の2点を実施する.①模擬骨を用いた指示誤差の評価,②屍体膝を用いた指示誤差の評価. ①においては,模擬骨(Sawbones社,Medium Left Encapsulated Hip)に対して本方法を適用し,その精度の評価を行なう.模擬骨なので周囲に軟部組織が存在しないために,目視でおよその姿勢及び位置が判明するので,ハーベスター先端周辺を布等で遮蔽した環境で,三次元再構成されたナビゲーションの情報のみで骨孔の作成を行う.同一検者で5回実験を行った誤差を検者内誤差とし,5名の検者で行った誤差を検者間誤差として評価する. ②においては,屍体膝を用いた精度実験を行う.対象膝は末期の糖尿病患者の切断肢または,献体として提供される屍体膝を用いる.本実験は神戸大学整形外科教室の協力の下,神戸大学整形外科実験室または神戸大学解剖学教室にて行う.また,誤差に関しては検者内誤差と検者間誤差を評価する.
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次年度の研究費の使用計画 |
業者と交渉した末に,三次元電磁気センサが当初予定より,安価に購入できた事が次年度使用額が生じた. 使用計画としては,前期のとおり光学撮像系のシステムの追加購入にあてる.
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