研究課題
花粉症では鼻水や鼻閉などの症状が明け方にピークを示す。この事実は、ほ乳類が示す概日性(約24時間周期性)の生物学的リズム(睡眠/覚醒サイクルや体温、血圧の日内変動など)を司る「体内時計」が花粉症の病態に関与することを強く示唆するが、その関係は未だ明らかではない。研究代表者らは、最近、「体内時計」がマスト細胞の脱顆粒反応における日内変動を調節していることを明らかにした(JACI 2011)。この研究を発展させ、本研究では、動物モデルを用いて「体内時計」が花粉症の病態に関与することを直接的に検証する。まず、マウス花粉症モデルを用いて、AM10:00(朝)とPM10:00(夜)における症状に違いがあるか否かについて解析を行った。その結果、野生型マウスではアレルゲン投与の時間によって症状の重症度に違いがあることが分かり、「体内時計」が花粉症の病態形成に関与することが分かった。また、マウス花粉症モデルを作成時に体内時計に作用する薬剤を投与することで、花粉症の症状(くしゃみ、鼻ひっかき行動など)の緩和が確認できた。さらに、マウス花粉症モデルを作成後、体内時計システムが機能的に障害されることが知られている「慢性時差ぼけマウス」モデルを作成し、正常マウスと比較検討したした結果、正常マウスで確認できる症状の差が確認できなくことが分かった。これらの結果から、体内時計が花粉症の病態に強く関与することを強く示唆する結果である。本研究成果は、花粉症に対する新しい発想(非免疫学的な)の予防や治療法の開発に結びつくことが期待される。
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