研究課題
本研究では、光の散乱体がランダムに分布した媒質中で起こる光の局在現象である光のアンダーソン局在やランダムレーザーの詳細を、局在状態のイメージングによって明らかにすることを目的としている。これまでの光局在の実験的研究は散乱光解析など二次的な現象の観察に留まっていたが、局在状態を直接可視化することが出来れば光の局在現象について新しい知見が得られることが期待される。そこで本研究では、ランダム系に局在した光の空間的分布の2次元イメージングを目的として、近接場光学顕微鏡をベースとした観察ツールの構築を進めた。光のアンダーソン局在の空間的分布及びランダムレーザーのキャビティーの可視化、さらには2次元ランダム構造の配置を実測定してそれらを比較することで、光の局在現象の空間的相関を実験的に明らかにすることを目指している。平成25年度は、近接場光学顕微鏡システムの構築及び測定に適した開口プローブの作製を行い、ランダムに配置したInGaN/GaNナノコラムにおいて光のアンダーソン局在の直接観察を行った。平成26年度は、前年度に引き続いて光局在の2次元イメージングに向けて要素技術の開発を進めた。光プローブと試料表面間距離のフィードバック制御には、研究当初は原子間力を利用した方法を用いてきたが、2次元ランダム試料表面では先鋭化した光プローブの安定制御が難しいことが実験的に明らかになった為、当初の方法に代えてトンネル電流を利用した方法を導入して進めた。一方で、2次元ランダム試料を観察する上で問題となっていた光プローブ先端の形状については、弗酸エッチング法の変更で解決し、紫外光測定と高分解能表面像観察を両立するプローブの作製に成功した。本研究の最終目標である光局在とランダムレーザーの空間分布の直接比較は未達成だが、測定装置の大幅な改良に成功していることから近い将来達成できると期待される。
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