近年、再生可能エネルギーに大きな期待が寄せられるようになってきている。なかでも未活用の小規模な落差・流量を利用した「地域生産・消費型の小水力発電」にも注目が集まっているが、地方から流域スケールでの検討に活用可能な、高解像度・高精度の小水力発電ポテンシャルの推計は未だ実現されていなかった。 そこで本研究ではこれらの実現を目的として、①現在利用可能な超高解像度DEM(空間最大5m・鉛直10cm 単位)による落差の算出②高解像度分布型水文モデルを用いた全日本の長期・高解像度の流量再現による発電利用可能水量の推定③小水力発電ポテンシャルの全国推定と評価を行った。 特に、小水力発電ポテンシャル推計に必要な落差および流量の推定において、超高解像度の落水線網および分布型水文モデルを構築して利用したが、低平地の落水線位置をより実河道位置に近づけるためのStream-Burning法の活用、数値地形モデル(DEM)にまれに存在する異常値のために生じることのある過大評価地点での対処法、超高解像度での計算量・計算時間の軽減の可能性(空間ダウンスケーリング手法)を検討するなど、本研究期間において計算の信頼性の向上と高速な流量シミュレーションのための追加解析を実施した。 最終年度は小水力発電に関して小水力発電機の種類・効率、運用方法などのシナリオを設定し、日本全国の小水力発電ポテンシャルの推計とそのポテンシャルマップの作成を試みた。さらにWeb-GISシステムによる成果の表示方法についての検討を行った。
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