1959年の伊勢湾台風による風倒が、半世紀後の森林の炭素蓄積と森林動態に与える影響を明らかにした。生立木の炭素蓄積量は倒木を除去した場所(除去区)と残置した場所(残置区)に差はなく、非風倒地の74%であった。残置区の倒木量は非風倒地の3.4倍、除去区の6.3倍であった。林分全体の炭素蓄積量は、残置区と非風倒地がほぼ同じで約120 Mg C/ha、除去区は88 Mg C/haであった。つまり、現在の風倒残置区はその倒木の多さのために、老齢林とほぼ同等の炭素を蓄積しており、半世紀前の風倒木の除去によって現在でも森林の炭素蓄積は約27%も減少していた。
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