研究課題/領域番号 |
25870292
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
青木 仁美 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10550361)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 遺伝子組換え / 発生 / 分化 / 神経堤細胞 |
研究概要 |
ー神経堤細胞特異的なRest欠損による神経堤細胞の運命決定への影響に関して。ー 申請者は独自に神経堤細胞特異的なRest CKOマウスを作製し、生後すぐに致死となることを観察した。神経堤細胞からは神経系である感覚神経や交感神経と非神経系であるグリア細胞や色素細胞が発生するが、神経堤細胞特異的なRest CKOマウスにおいて、発生過程から生後まで、組織学的な異常は観察されなかった。またCreの発現により遺伝子組換えが生じた神経堤細胞を追跡・識別できるように、レポーター遺伝子としてRosa26R loxP-Stop-LoxP LacZを導入し、Restを欠損した神経堤由来のLacZ陽性細胞の細胞の分化・分布を調べたが異常は観察されなかった。唯一、胃から十二指腸にかけてアセチルコリンエステラーゼ活性の低下が観察され、機能的な異常を発見した。 ー全身性のRest発現制御が神経堤細胞の発生へ及ぼす影響に関して。ー 申請者はDox依存的なRest強制発現マウスを新たに作製し、胎児期から新生児期の様々な神経及び神経堤細胞の発生段階にDoxを投与し、Restの発現を修飾した。神経堤細胞の派生、脳の発生や全身的な発達に関して、形態学的・組織学的な解析を行ったが、異常は観察されなかった。遺伝子発現に関しても顕著な発現の変化は検出されなかった。 ーRestの発現制御による未分化性維持機構への影響に関して。ー Restは多能性ES細胞の分化の初期段階でOct3/4-Sox2-Nanogが調節するネットワークをNanogを介して抑制するため、iPS細胞誘導過程において、Restを除去する事でリプログラミング効率を改善される事を期待しリプログラミングを試みたが、リプログラミング効率が改善される事はなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に準じて、神経堤細胞特異的なRest CKOマウスの作製、Dox依存的なRest CKOマウスおよびRest強制発現マウスの作製が完了しており、これらを用いて形態学的・組織学的な解析を実施しており、一定の結果を得ている。そのため、予定通り次年度に計画している研究計画にも取りかかれると思われる。今年度得られた成果の中で、予定していなかった電気生理学的な機能解析を行う事でより良い成果が得られると思われる結果を得ているため、多少の計画の修正が必要と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
Dox依存的なRest強制発現マウスにおいて、胎児期からあるいは成体においてDox投与によりRestを強制発現させても明確な形態的異常や致死性は観察していない。そこで神経堤細胞特異的なRest CKOマウスで、Dox依存的にRestを強制発現し、神経堤細胞に及ぼす影響を解析する。ST2細胞を支持細胞として神経堤細胞を共培養し、神経堤細胞から派生する神経系(感覚神経や交感神経)と非神経系(グリア細胞や色素細胞、平滑筋細胞)を同時に発生させ、この共培養系にDoxを投与しCreないしはRestを強制発現させる。神経堤細胞の増殖能、コロニー形性能、分化能を評価し、遺伝子発現の変化を同定し、細胞学的性質を比較・評価する。
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