研究概要 |
1.研究対象 終末期医療と法的・倫理的問題を対象として,国内外の研究者との情報交換をし,海外における議論を中心に,基礎的資料の収集及び整理を行った。本年度は,研究初年度ということもあり,本課題における論点の整理という基礎固めが中心となった。 2.実施内容 特に在宅医療に関する法的・倫理的問題を検討する研究会に所属して,実務的な観点からの問題状況に関する情報収集を行った。そこにおける成果は,松田純=青田安史=天野ゆかり=宮下修一(編)『こんなときどうする?在宅医療と介護:ケースで学ぶ倫理と法』(南山堂)に収録された。また,スイスにおけるPhysician-Assisted Suicide(医師介助自殺)の問題に関しても,研究会で報告された内容が発刊された(平成23~25年度科学研究費補助金研究報告書〔基盤B:23320001〕38頁以下参照)。 また,我が国における終末期医療を巡る判例動向に関する基礎的な調査も行った。その成果に関しては,来年度にまとめ上げるべく,研究を進めている段階である。最終的には,刑法上の議論として従前において,あまり着目されてこなかった「義務衝突」という違法性阻却事由から,治療中止の場面が説明できるか否かの方向性を見定めたく構想中である。 現在,ドイツ語圏における高齢者虐待に関する論文を翻訳中の段階であり,この翻訳から,介護の現場における高齢者が置かれた状況を把握することが可能になるものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
調査を予定していた内容に関して,おおむね必要とされる資料の収集は,ほぼ完了している段階にある。したがって,来年度に向けては,それらの資料を整理した上で,私見をまとめあげる作業に取りかかる。
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