甲状腺ホルモンは、リガンド依存的転写因子である核内ホルモン受容体に結合することによって、標的遺伝子の転写を調節する。その際、ヒストンがアセチル化され、クロマチン構造が緩むことによって転写が活性化されるなど、エピジェネティックな制御が存在することが知られている。そこで本研究では、このようなエピジェネティックな制御に及ぼす環境化学物質の影響をゲノムワイドに検討することを目的とした。研究成果として、従来知られていたホルモン応答配列以外の上流域においてもエピジェネティックな制御が存在すること、ある種の化学物質がその種類依存的、また標的遺伝子特異的にエピジェネティック制御を撹乱することなどを見出した。
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