研究課題/領域番号 |
25870299
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
望月 洋介 浜松医科大学, 医学部附属病院, 臨床心理士 (30568572)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 摂食障害 / 認知行動療法 / 包括的治療システム |
研究概要 |
先進諸国で爆発的に増加している摂食障害の治療において、海外では認知行動療法(CBT)の有効性が示唆されているが、わが国でのエビデンスは十分ではない。そこで、本研究では、外来摂食障害患者を対象に摂食障害のサブタイプに共通した精神病理に焦点を当てた強化認知行動療法(CBT-E)を施行し、その効果を臨床心理学的に評価するとともに、脳の構造と機能の変化をMRI で計測し、治療による脳内の変化を明らかにすることにあった。しかし、欧米諸国に比べ日本では一般人口における低体重の女性の割合が著しく高く、CBT-Eを含めて、日本固有の標準的治療法の確立も重要な課題として浮上してきた。 このような日本の現状を踏まえ、栗田ら(2013)は、低体重の神経性無食欲症(AN)に対する身体管理マニュアルを開発した。これにより入院環境下で、AN患者が効率的かつ十分に体重を増やしていくことが可能となった。さらに、2012年11月より運用を開始している摂食障害専門デイケアに入院中から参加し、退院後もデイケアに通いながら社会復帰を目指すという治療システムが確立された。このデイケアでは、CBTを基本にした心理プログラムを展開しており、利用者は月に6回このプログラムを受けることになっている。これらに加えて、2012年12月からは入院患者とデイケア利用患者の親に対して摂食障害の心理教育を行う家族教室を開始し、家族への支援も行っている(佐野ら,2013、稲土ら,2013)。これらの成果について、摂食障害の包括的治療システムの構築として、竹林ら(2013)は、第17回日本摂食障害学会にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、摂食障害患者へのCBT-Eを開始し、その治療効果をf-MRIを用いて判定する予定であったが、日本固有の治療システムの構築が急務となった。そのため、包括的治療システムの構築を進め、その成果を発表するにとどまっている。今後、この包括的治療システムの中でf-MRIによる効果検討を加えていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
竹林ら(2013)の開発した包括的治療システムの中の摂食障害専門デイケアではCBTを基本にした心理プログラムが月に6回行われている。このデイケアは3ヵ月利用することが基本となっているため、3ヵ月間で18セッションの心理プログラムを受ける事になる。このプログラムの効果を判定するために、その前後でf-MRIを用いた脳機能の変化を測定していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していたf-MRIを対象者にとるという作業がまだ開始できていないため。 対象者への謝金、f-MIR使用のための費用、データ入力と分析のための人件費等。
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