反社会的行動を示す児童において、発達障害の影響が指摘されている。本研究では、非行経験を多く有する児童自立支援施設の児童を対象に、発達障害傾向や被虐待など逆境的体験の有無とその関連について検討した。 ASDもしくはADHDの行動特徴を有する児童は約80%であった。また、被虐待など逆境的体験を有する児童は約96%であった。臨床レベルの精神症状を示す児童は、トラウマ症状が約20%、解離症状が約15%であった。結果から、児童自立支援施設の入所児童は、単純な発達障害というより、虐待など二次的被害の影響で、愛着障害など複雑に絡み合う状態像を呈する、支援困難な対象であることが明らかとなった。
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