研究課題
モンゴル南東部シネフダグ地域に露出する中部白亜系(約1億2千万年前)の湖成層(シネフダグ層)は,年縞を保存しており,数年~数十年規模の気候変動や,数万~数十万年規模の地球軌道要素変動に伴う気候変動を記録している世界有数の記録アーカイブである.本年度は,まず前年度までに実施した介在する凝灰岩中ジルコンのU-Pb年代測定の結果から,シネフダグ層はアプチアン紀前期の123~118Maに堆積したとする筆頭著者論文をIsland Arc誌に投稿した(Minor revision, 近く受理見込み).また最終年度は特に,シネフダグ層の利点である年縞記録の解析に集中した.前年度までの研究から示唆された,年縞層厚変動に記録される数年~数十年規模の気候変動の復元と,太陽活動周期(約11年,88年,400年周期)を検証するために,ラミナ自動トレースプログラムの開発(岐阜大・勝田准教授との共同研究)と,年縞層厚変動のWavelet解析(名大太陽研・村木名誉教授との共同研究)を行った.その結果,これまでよりも高精度で年縞層厚変動を復元し,約11年,88年,400年の卓越周期と共に,約30年の卓越周期が見られることを明らかにした.これらの卓越周期は屋久杉年輪にも見られ,白亜紀の太陽活動変動に由来する十年規模変動がシネフダグ層の年縞層厚変動として記録されることを解明した.この重要な成果は筆頭著者論文としてNature誌に投稿すべく準備を進めている.また地球軌道要素変動に伴う数万年~数十万年規模の気候変動の結果なども筆頭著者論文2編として国際誌に投稿準備中であると共に,国際学会2件・国内学会2件で発表・発表予定である(うち3件は招待講演).
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
http://www.num.nagoya-u.ac.jp/outline/staff/hasegawa/index.html