本研究は,モンゴル南東部のアプチアン期の湖成層(シネフダグ層)を対象として,白亜紀中期“超温室期”におけるアジア中緯度域の気候変動及び大気循環システムの変動を,数年~数万年スケールで復元することを目的とした.詳細な年代層序の構築や主要・微量元素組成分析の結果から,シネフダグ層はアプチアン期前期(1億2200万年~1億1900万年前)の連続的記録を有し,地球軌道要素周期を反映して各古気候因子(降水量,風化度,湖底還元度)が変動していた事が明らかになった.また,シネフダグ層の頁岩中に見られるマイクロラミナは,春~夏の湖表層生産の増大と秋~冬の砕屑物流入の季節変動を反映した年縞であると解釈した.
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