研究課題
研究代表者は現在までに、IgG-Fc領域を特異的に表面に固定化できるバイオナノカプセル(ZZ-BNC)を開発し、抗体分子のクラスター化と整列化、さらに固相上に整列化された抗体を検出する能力を有することを見出してきた。そして、ZZ-BNCを用いて、各種イムノアッセイやイムノセンサーを高機能化すると共に、抗体分子の整列化度合いを評価するプローブを開発した。そこで本研究は、同技術を抗体以外のセンシング分子にも応用し、バイオセンサー全般の飛躍的な機能向上を目的とした。H26年度は、まず、H25年度に作製したProtein GおよびProtein L由来の各IgG結合ドメインを提示するLG-BNCおよびLL-BNCを用いて、固相上のオボアルブミンを検出するELISAの高感度化の検討を行った結果、LG-BNCは従来法よりも検出感度が上昇することを見出した。LL-BNCについては最適条件を検討中である。さらに、H25年度に見出したQCMバイオセンサーを用いたFc融合レセプターとリガンドの検出系におけるZZ-BNCによる検出感度およびリガンド結合能の上昇効果について、より詳細な解析を行った結果、1レセプターに対するリガンド結合およびアフィニティーも著しく上昇することを見出した。一方、Fcと融合できないセンシング分子(糖鎖・ペプチド・DNAアプタマー等)の整列化技術の開発およびBNCを用いた新規平面膜の開発についても検討を進めている。本年度の研究成果は、原著論文・総合論文・学会・HPでの発表を行い、社会・国民に向けて積極的に情報発信を行っていることから、本研究の意義、重要性は非常に高いと考えている。
2: おおむね順調に進展している
現在までに、新規にProtein GおよびProtein L由来の各IgG結合ドメインを提示したLG-BNCおよびLL-BNCを作製してZZ-BNCとの優位性を示すと共に、LG-BNCはELISAにおいて従来法を高感度化できることを見出したことから、各種BNCを用いることで広範なイムノアッセイおよびイムノセンサーの機能向上が可能であることを示した。また、ZZ-BNCを用いて、QCMバイオセンサーにおけるFc融合レセプターの整列化技術を開発し、リガンドの高感度検出を可能にしたことから、ZZ-BNCが抗体以外のセンシング分子を整列化し、広範なバイオセンサーの高感度化、高機能化を達成できる可能性を示した。さらに、糖鎖、ペプチド、DNAアプタマー等の整列化技術の開発およびBNCを用いた新規脂質平面分子膜の開発についても検討を進めている。以上の現在までに得られた成果は、原著論文・総合論文・学会・HPでの発表および特許申請を行っていることから、おおむね順調に進展していると考えている。
現在までに得られた成果を基盤技術として、引き続き糖鎖・ペプチド・DNAアプタマーのFc結合分子を作製し、BNCによる抗体以外のセンシング分子整列化技術の開発を目指す。さらに、BNCを用いた新規脂質平面分子膜の開発およびバイオセンサーへの応用解析を行う。なお、これらの研究により得られた成果は、原著論文、学会、HP等での発表および特許申請等を積極的に行う予定である。
H26年度に実施した研究において、BNCによる分子整列化技術を用いた新規脂質平面分子膜を開発し、その結果を基にバイオセンサーへの応用解析を行うと共に、学会や論文発表を行う予定であったが、研究計画に記載した方法による脂質平面分子膜の作製が困難であったことから、計画を変更してBNC平面膜作製法のより詳細な検討を行うこととしたため、次年度使用額が生じた。
H26年度と同様に、主に物品費(消耗品費)、旅費(学会発表(国内、国外))、その他(論文投稿費、印刷費)について使用する。なお、物品費(消耗品費)は、一般試薬、ガラスおよび使い捨て器具、抗体試薬、タンパク質試薬、センサーチップや金基板等を主として使用する。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (13件) 備考 (1件)
生物工学会誌
巻: 93 ページ: 1-11
Journal of Biological Chemistry
巻: 289 ページ: 9781-9794
10.1074/jbc.M113.507020
Scientific Reports
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http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~tagen/tagen/home.html