研究課題/領域番号 |
25870313
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 健太郎 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助教 (40583878)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 制御通信 / 無線制御 / 統合最適化 / 最適受信機 / 適応誤り訂正符号化 / 状態推定 / 最適制御 |
研究概要 |
産業機器やロボットを無線により遠隔制御を行う無線制御システムについて,制御レイヤと無線通信レイヤの統合最適化によるシステムの高信頼化を検討した.平成25年度は,無線通信路を介したフィードバック制御システムについて,状態予測の制御理論を応用した最適受信機の構築(サブテーマA)・適応誤り訂正の構築(サブテーマB)に取り組んだ. 具体的には,サブテーマAでは,制御対象の状態を予測し,受信した制御信号の誤りを最小化する最適受信機を構築した.予測した状態量を利用した信号判定を行うことで無線通信路誤りの低減を実現した.サブテーマBでは,制御対象の状態を予測し,制御の誤差を最小化するように誤り訂正能力を切り替える適応誤り訂正符号化方式を構築した.制御の誤差がより小さくなる符号化方式へと切り替えることで,制御品質の向上を実現した.平成25年度の研究成果について,論文誌1件,国際会議5件,招待講演1件,国内研究会4件の発表実績がある. 無線制御における通信誤り低減の技術は遠隔制御システムの高信頼化のための最重要な要素である.本研究では,従来の通信レイヤのみに基づいた無線通信の品質向上ではなく,制御レイヤの状況に応じた通信品質の向上を図ることで,制御システムとしての制御品質向上を実現した.本研究の制御理論を応用して通信レイヤの性能向上を図るという点は,従来研究にはない独創的な点である.また,本研究の成果は,制御理論と通信理論の融合,通信工学における制御理論や適応制御の応用,制御工学における情報理論や適応信号処理の応用といった幅広い学術的な展開が期待できる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の実施計画としてあげた,制御対象の状態を予測し,受信した制御信号の誤りを最小化する最適受信機,並びに,制御対象の状態を予測し,制御の誤差を最小化するように誤り訂正能力を切り替える適応誤り訂正符号化方式を構築できた.提案方式の通信品質(誤り率)と制御品質(安定性,応答性)の性能評価を通じて,性提案方式の有効性を明らかにできた. 平成26年度の研究実施計画として挙げた,制御機器の数学モデルの不確かさを考慮したロバスト制御システムへの議論展開についてすでに基礎検討を始めている.
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度の検討結果を踏まえ,状態予測の制御理論を応用した最適受信機の構築(サブテーマA)・適応誤り訂正の構築(サブテーマB)それぞれについて,制御機器の不確かさを考慮した制御システムへと議論を展開する.理論検討に基づき,提案方式の実装・性能評価を行う.また,平成25年度の検討結果より,サブテーマA,Bそれぞれについて更なる性能向上の余地があり,性能向上のための理論検討も継続する.制御レイヤの品質(予測精度)が提案方式の通信レイヤの性能(誤り率)に及ぼす効果,また,提案方式の通信レイヤの性能(誤り率,通信レート)が制御レイヤの品質(安定性,応答性)に及ぼす効果を明らかにし,提案方式の有効性を明らかにしていく.
|