研究課題
若手研究(B)
本研究では月マントルのチタン量の水平・垂直分布を観測的に制約するために、溶岩流ユニットの組成推定を行い、噴出年代との関係性を調査することを目的としている.これを実現するために、近年の月探査計画によって蓄積されてきた高解像度画像データを利用する.平成25年度においては、(1) 地形的特徴、分光学的分類に基づく溶岩流の地質ユニットの再決定、(2) 各溶岩流ユニットのチタン含有量の決定、を計画していた.まず(1)の前の予備解析として、既存の地質境界区分のデータを用いて、月面チタン含有量と年代との相関関係を調査したところ、両者の間に有意な関係性が見いだされ、月マントルの進化史復元において本研究の着眼点や方法が将来性の高いものであることが確認された.本成果は国際,国内の会議や査読論文において発表済みである.次に、月面の火成活動を調べる上で、その活動期間の長さや活動の規模から重要地域とされている嵐の大洋、雨の海領域について、(1)と(2)の作業を同時並行で進めている.
2: おおむね順調に進展している
平成25年度は、(1) 地形的特徴、分光学的分類に基づく溶岩流の地質ユニットの再決定、(2) 各溶岩流ユニットのチタン含有量の決定、を順に進めると計画していたが、一連の解析手順の確立、効率的な研究成果の生産のために、解析手順を工夫した.具体的には、月全球で(1)と(2)の作業を順に進めるのではなく、領域別に解析することとした.月面の火成活動を調べる上でその活動期間の長さや活動の規模から重要地域とされている嵐の大洋、雨の海領域について、(1)と(2)の作業を同時並行で進めており、順調に進行している.
平成26年度は、引き続き嵐の大洋、雨の海領域について地形的特徴、分光学的分類に基づく溶岩流の地質ユニットの再決定と各溶岩流ユニットのチタン含有量の決定を行い、本領域の熱進化史について議論を進める.さらに他領域、とくに東の海などの活動期間の長い領域についても優先的に解析をはじめる.
当初、初年度に広範囲のデータ解析を予定していたが,解析領域をしぼり,解析手順の確立を優先した計画に修正したことにより,大量データの処理用の画像解析ソフトウェアやハードディスクの購入,データ解析補助の人件費を次年度以降とした.大量データ処理に備えて,平成26年度に画像解析用の計算機,画像解析ソフトウェアやハードディスクの購入と,データ解析補助の人件費に使用予定である.
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