研究課題
本研究では月マントルの組成の水平・垂直分布を観測的に制約するために,溶岩流の組成推定を行い,マグマ噴出年代との関係性を調査することを目的としている.これを実現するために,近年の各国の月探査計画によって蓄積された高解像度画像データを利用する.平成27年度においては,各溶岩流ユニットのチタン含有量の決定(昨年度からの継続)と噴出年代との相関調査を計画していた.昨年度までに調査済みであった嵐の大洋・雨の海領域以外の海の詳細調査を実行し,それらの結果をふまえ,月全球の溶岩流のチタン量と噴出年代の系統調査を行った.その結果,嵐の大洋・雨の海領域では23億年前にチタン量の増加が起こったことが分かり,これはマグマソースが変化したことを示唆している.一方,その他の領域ではチタン量の増加は観測されなかった.噴出年代の分布から,嵐の大洋・雨の海領域では23億年以降に一時的にマグマ噴出量が増加していることが知られている.これらの結果を総合し我々は,嵐の大洋・雨の海領域直下のマントルにおいて23億年前にチタンを多く含むホットプルームが発生し,火成活動のピークと高チタン量のマグマ噴出を引き起こしたと推定している.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件)
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