研究課題/領域番号 |
25870315
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
西本 和見 中部大学, 全学共通教育部, 講師 (30586748)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 合理的選択論 |
研究概要 |
平成25年度は、戦後の合理籍選択論の展開の1つとして、ケネス・J・アローの『社会的選択と個人的評価』執筆時の彼の理論と思想の関係を考察した。 アローは、周知のように20世紀の現代経済学における中心人物である。彼はJ. R. ヒックスと同時に1972年にノーベル経済学賞を受賞した。こうした授賞理由から、アローは一般的に現代経済学の市場原理システムを信頼した静学的な経済学の発展に貢献した人物とみなされている。しかし、彼はこれらの功績のほかに不確実性の経済学、経済の動態的側面、組織の経済学、そして健康保険といった具体的な制度設計に関するものまでさまざまなテーマに関心をもち考察を進めてきた人物でもある。アローは市場システムの有効性を認めながらも、市場だけでは調整は不十分と考えていた。こうしたアローの多面的な思想の一端として、『社会的選択と個人的評価』執筆時の彼の理論と思想の関係をみた。 同書は、本研究全体を貫通する合理的選択論の1つの源流として知られる著作で、その後の社会的選択論の研究の広がりをもたらす経済学においても重要な著作の1つである。これを考察することで、合理的選択論の歴史の一端を明らかにするのが今年度の研究の目的である。本研究は、選択理論の理論内容に加えて社会的背景も検討するものであり、アローの初期の思想に影響を与えているものとして、同書をめぐる1940年代後半から50年代の冷戦時代の社会的背景も考察した。アローのその成果は、オーストラリア経済学史学会等で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、予定の研究・調査を行った点が、順調である。しかし、その成果としての投稿論文は執筆中であり、計画以上に進んでいるほどではない。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところおおむね順調に進んでいるので、今後も予定どおり研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度末に予定していた研究会(仙台)への参加が大雪で出席不可能となったため、平成26年度に繰り越した。平成26年度研究会の参加に加え、平成26年度の研究として、ウィリアム・W・ライカ―・ペーパーとアバ・ラーナー・ペーパーの文献調査、研究発表に次年度使用額が必要となる。 平成26年度予定の研究会参加費用に合わせて使用する。また、8月中旬から9月上旬にかけて、ライカ―・ペーパー閲覧のため、ロチェスター大学と、アバ・ラーナー・ペーパー閲覧のため国会図書館への来訪を予定している。また学会発表も計画している。
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