本研究計画「司法と福祉支援職の連携・ネットワークの諸要因に関する研究は、支援の現場で、法律専門家と福祉・行政職をはじめとする支援職者らとの「連携」がいかにして形成されるのか、また、それが維持・再生産される条件がどういったものかについて調査し、それらの相互作用や諸要因を明らかにすることをめざすものである。研究代表者が数年前より実施してきた日本司法支援センターの常勤弁護士を中心とした「連携」に関する取り組みや地域の法的支援ネットワーク構造に関する研究を拡大するために計画されたものであり、ネットワークの時間的変容、公式・非公式ネットワークの構造差異、人的依存の克服策について整理することを目標としている。 最終年度である平成27年度は、研究計画書に記載の通り、連携体制の継承についての状況を追跡するため補完調査を以下のように実施した。第1に、平成26年度までに継続してネットワークの時間的変容を観察している調査地を訪問し、法律専門家を含む福祉・行政支援職者への聞き取り、組織的連携スキームの実践場面における同席観察等を集中的に実施した。第2に、組織的連携の態様及び事例収集のため、新たに3か所の日本司法支援センター地方事務所への訪問調査を実施し、各地域の状況把握を行うとともに連携促進・阻害要因の検討を試みた。加えて、医療保健福祉領域における地域連携事業やアウトリーチの実践につき、文献・資料収集を集中的に行い、地域生活支援に法的支援がいかにして組み込まれるのか、法律専門家を加えた多職種連携のあり方について検討した。平成27年度末にかけて、本研究全期間で実施した調査結果を精査し、「連携」・ネットワークの諸要因に関する知見を整理する報告書を作成し製本・印刷した。
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