研究課題/領域番号 |
25870317
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
岡本 陽 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (60436996)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | cereulide / Bacillus cereus / カチオン置換 / 細胞毒性 |
研究実績の概要 |
平成26年度は嘔吐毒素cereulideに付加するカチオンの種類と細胞への毒性の関係について相関があることが明確に示唆された。K+以外のイオン種が優勢な環境では細胞にあたえる毒性が著しく低下することが示された。したがって、本課題で提示した仮説が支持される結果が得られた。一方で、質量分析計で測定する場合、cereulideの溶液に含まれるイオンが観察されるスペクトルに影響を与えることが示唆された。即ち、測定の条件によって観察される結果が影響されるアーティファクトの可能性が示唆された。そこでアーティファクトを排除するために、測定前のcereulideの精製法に改良を加え、なるべく観察結果に影響を与えない測定手法を確立した。以上の結果から得られた新しい知見として、これまでcereulideによく付加すると考えていたK+以外のイオン種として、Na+ではなく、NH4+が優勢であることがわかった。さらに本研究の副次的な産物として、生物活性を効率的に観察できる細胞の染色法を見出した。本知見は短報として学術雑誌へ投稿中である。 これに加え、cereulideの産生に関わるB. cereusの増殖におけるタンパク発現についてもプロテオーム解析を行い、嘔吐毒素の産生にどのようなタンパク発現調節が関わっているのかを観察した。本知見も学術雑誌への投稿のため、原稿を作成中である。 本研究により得られた結果をまとめ、第88回日本細菌学会総会において一般演題として発表を行い、議論を深めた。学術雑誌への投稿原稿を作成中であるが、以上のように数点の新しい知見が得られたため、執筆が予定より遅れている。このため研究機関の延長を申請している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究内容としては申請した以上の知見が得られたため、良好であると評価できる。しかしながら学術論文としての報告が遅れているため、以上の評価と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
予想以上の知見が得られたため、期間延長が認められれば学術論文の作成とその投稿を中心に研究を行う。また、学術論文の審査に際して追加実験を行う可能性も考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新たな知見が多数得られたため、学術雑誌への報告が遅れた。
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次年度使用額の使用計画 |
学術雑誌への論文投稿について、すでに投稿中のものもあるが、現在作成中のものもあるため、延長申請が認められれば迅速に論文作成、投稿を行い、発表することを目的とする。また平成27年度当初から計画している通り、論文作成、投稿に付随して発生する追加実験(追試)等を行うために必要な物品購入も行う。なお、新たな旅行計画はない。
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