セレウス菌の産生する嘔吐毒素セレウリドには、カリウムイオン(K+)とアンモニウムイオン(NH4+)が強いアフィニティで配位し、他の1価陽イオンは安定して配位しないことが質量分析の結果から明らかになった。また、ナトリウムイオン(Na+)が過剰の環境でインキュベートした場合、ナトリウムイオンが配位したセレウリドは確認できなかったものの、HEp-2細胞への毒性が顕著に低下した。以上の結果から、嘔吐毒素セレウリドの毒素活性は産生された場所のカチオン濃度に影響をうけることが示唆された。今後は食中毒との関連から検討をすすめたい。
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