自己スピン回転機能をもつ電界放出型スピン偏極電子源の開発を目的として,以下の成果が得られた.超高真空下で清浄化したW<001>陰極上に,電子ビーム蒸着源を用いてCrを堆積させた.その表面構造を電界イオン顕微鏡で評価した結果,750Kのアニールによって,Cr薄膜が下地W<001>陰極の結晶構造を反映して格子整合していることが判明した.作製した陰極からの電子スピン偏極度の測定を行った結果,40~300Kの測定において,150Kで偏極度は最大20%となった.今後本研究を継続して,Cr(001)表面の結晶構造およびガス吸着が,電界放出電子のスピン偏極度に及ぼす影響を調査する.
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