研究課題/領域番号 |
25870329
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
深井 英喜 三重大学, 人文学部, 准教授 (10378276)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 社会的排除指標 / 地域診断 |
研究概要 |
平成25年度の研究目標は、①社会的排除指標に基づく三重県S市の生活実態調査の詳細な分析と、②行政府統計や地方公共団体独自の調査の選定と収集作業の2点であった。 ①については、S市の生活実態調査の第一次集計を終了し、報告書を作成してS市議会に報告を行った。また、その後、この調査の結果を踏まえて、S市健康福祉部地域福祉課との共同し、地域福祉事業を展開するための基礎資料として活用している。 調査の結果から、主に次のようなことが確認できた。S市を合併前旧町単位、および字単位で集計を行ったところ、地域の自治会の活動状況や、地域コミュニティを形成する拠り所である要因の違いが、地域住民の社会参加の姿勢や動向の違いを生み出している。このことを踏まえると、地域での社会的排除状況を測定するためには、地域のコミュニティを形成している諸要因を歴史的にも捉える必要があることが分かってきた。 ②については、思ったほどに市町を単位とする統計資料が存在せず、少々難航している。例えば、地域経済の詳細を分析する基礎資料となる産業連関表等についても、県単位までは集計されているが、市町単位での集計が存在しない。このため、当初の研究計画に即して、S市生活実態調査の結果を行政府統計との関連の中で評価する作業が、予定よりも遅れている。 対策として、市町単位で用いることのできる人口統計等を参考にしながら、県単位の行政府統計から市町単位に推計する作業を行っている。また、今後の対策として、地方自治体等が実施した健康調査や高齢者福祉調査など、市町単位の資料の収集を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
市町単位で利用できる行政府統計が、予想していたよりも少ない事が主な原因である。今後の対策として、現在進めているように、第一に県単位の行政府統計から市町単位のデータを推計する試みをもうしばらく試してみることと、第二に市町が独自に行った住民調査を資料として集め、その使用の可能性を模索していくことを考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、既存の統計調査等を活用することを通して、社会的排除問題を地域で捉える手法の開発にある。 この点を考慮すると、前述のように市町単位で使用できる行政府統計が少ない事は、研究遂行の上での大きな誤算となっている。この課題に対して、これまで述べてきたように、現在、県単位の行政府統計からの推計の可能性を試みるとともに、市町が独自に行った住民調査を用いた手法を検討している。 また、現在は思いつきの域を出ていないが、もうひとつの対策として、S市の生活実態調査のデータに固執せずに、信頼できるデータが使用できる県単位の行政府統計を基本とした考察方法がないか、現在思案しているところである。
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次年度の研究費の使用計画 |
社会的排除指標の開発とその使用方法について、翻訳作業等を通して交流のできた英国の研究者と打ち合わせと、地域研究の分野で興味深い試みをしている研究者との面談を目的に、英国への渡航費を計上していた。 しかし、面談を予定していた研究者が、本年度は在外研究で在籍大学を留守にしていることが判明した。 このことを踏まえて、英国渡航を次年度に繰り越すこととした。 上記の理由から、本年度未使用の予算を次年度の英国渡航のための予算に充てる。
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