社会的排除という考え方は、生活状態を多次元的に評価する社会科学的手法である。本研究は、この社会的排除の考え方を基礎にして、地域社会が抱える課題や状況を包括的に評価する方法の構築を模索することが目的であった。 今回の研究では、協力の得られた三重県S市をフィールドとして、政府統計の人口動態統計や産業連関統計を主に用いながらS市の社会構造の変化を見つつ、社会的排除概念を用いた市民調査(量的調査)とS市内の自治会でのヒアリング調査(質的調査)を独自に実施した。本研究から、人口の高齢化が、地域の生活基盤となる社会インフラ、そして地域の住民間の互助の基盤となる社会関係資本を掘り崩していることが分かった。
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