研究課題/領域番号 |
25870332
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
寒水 孝司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80408723)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 医薬品開発 / 治験 / 主要評価変数 / エンドポイント / 費用効率 / 多重性 / サンプルサイズ |
研究概要 |
本研究の目的は,複数の主要(評価)変数をもつ臨床試験について,試験全体の検出力を確保しつつ,主要変数の費用効率(検査や測定に伴う侵襲性,費用,期間など)を考慮できる試験デザインを構築することである.本年度は,ほぼ当初の予定どおり,(1)試験全体の検出力の導出,(2)3つの試験デザインの比較,(3)実際の臨床試験における主要変数の費用効率の調査と試算について研究を行った.研究の基盤として,学術雑誌(計量生物学)の総説「主要評価変数が複数ある臨床試験の統計的諸問題」で本研究の意義と必要性を述べた. (1)について,「すべての主要変数の有効性を示す命題」と「少なくとも1つの主要変数の有効性を示す命題」の両者について,それぞれ試験全体の検出力を導出した.(2)について,当初計画していた3つの試験デザインのうち「主要変数ごとに試験を実施するデザイン」は実用的でないと判断しこれを除外し,通常の(基本的な)試験デザインと提案する試験デザインのもとで,(a)参加者数,(b)総測定数,(c)総費用を比較した.これにより,これらの指標の観点から,提案する試験デザインが有用となる状況が明らかになった.(3) について,アルツハイマー病の臨床試験を対象に,治験における施設との契約や保険点数など,費用効率の試算に必要な情報を調査した.その際,実際の治験で施設との契約を担当する企業の専門家や学内の医療経済学の専門家に意見を伺った. 平成26年7月に開催される国際会議(XXVII International Biometric Conference)で研究成果を発表することが決まっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主要変数が正規分布に従う場合について,試験全体の検出力を導出してあったので,得られた結果を他の状況(例: 主要変数が二値変数の場合)に拡張する予定であった.しかし,それよりも先に「少なくとも1つの主要変数の有効性を示す命題」のもとで試験全体の検出力を導出し,試験デザインを比較することを優先した.これにより,試験の目的について,研究成果の適用範囲が広がったものの,検討に時間がかかり,研究成果を学術雑誌に投稿することにやや遅れが生じた.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の前半では,研究成果を学術雑誌に投稿することを優先する.さらに,当初の予定に従って,アルツハイマー病以外の疾患領域について,主要変数の費用効率の実態を調査し,提案する試験デザインの実用性を評価する. 平成26年度の後半では,研究成果を総括して,学術雑誌に投稿する作業を進める.さらに,提案する試験デザインのもとで,試験に必要な測定数を計算するプログラムを申請者が所属する研究室のホームページ上に公開する.最後に,研究成果報告書を作成する.
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次年度の研究費の使用計画 |
論文投稿に関する費用が予定額を下回った. 論文投稿に関する費用に計上する.
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