研究実績の概要 |
本研究では、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて、報酬の獲得と罰の回避を目的とした欺瞞行動の神経基盤にアプローチしている。具体的には、「ズル」をすることで金銭的な報酬を獲得、もしくは金銭的な罰を回避できる課題を用いて、嘘をつく割合を定量的に評価し、その意思決定の際の神経活動を測定している。今年度の研究では、昨年から開始したデータ取得が終了し、基本的なデータ解析も概ね完了した。 行動データの解析からは、報酬を獲得するための嘘と、罰を回避するための嘘をつく割合はそれぞれ、大きな個人差が存在することが明らかとなった。また、二種類の嘘をつく行為の神経基盤に、差異が存在する可能性も明らかとなった。同様に、二種類の嘘をつくことを制御して正直に振る舞う行為の神経基盤にも、差異が存在する可能性が明らかとなった。 なお、先行研究でも用いられている手法として(Greene & Paxton, 2009; Abe & Greene 2014)、嘘をつく割合に応じてグループ分けを行い、画像データを解析する手法が報告されている。本研究のデータについても、上記の手法を用いて追加の解析を行う予定である。したがって本研究で得られたデータについては、研究期間終了後も引き続き、上記の手法を含めたデータ解析を行い、得られた成果を学会・研究会等で報告する。最終的な研究成果については、海外の学術雑誌で報告する予定である。
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