研究課題/領域番号 |
25870338
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長谷川 聡 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40637708)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 障害観察 / 骨格筋障害 / サルぺニア / 慢性閉塞性肺疾患 |
研究概要 |
本研究課題の目的は、在宅療養生活をおくる慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の骨格筋の形態学的・神経学的・生化学的特徴を加齢性筋肉減少症(サルコペニア)との関連性を含めて検証した上で、在宅COPD患者に対して新しい骨格筋トレーニングプログラムを導入し、継続させることによって生じる身体機能および精神機能における効果を明確にすることであるが、平成25年度の成果内容は、COPD患者の骨格筋の調査であった。予想された結果の通り、COPDでは形態学的、機能的に骨格筋障害が生じていた。特に大腿部の筋厚の減少やそれによる膝関節伸展筋の筋力低下が著明に認められた。これらは同世代健常者の値と比較すると明らかに低値であり、いわゆる加齢によって発生する加齢性筋肉減少症(サルコペニア)に加えて、COPDという全身性炎症性疾患に起因するものが加わっていることが示唆された。さらには、対象者の大腿部筋厚および大腿四頭筋力と運動耐容能および身体活動量との間には相関関係が認められ、下肢筋力低下と運動耐容能および身体活動量低下との関連性が明らかとなった。 本年度の研究成果は、COPDにおける骨格筋の形態学的変化が明らかとなり、いわゆるサルコぺニアだけに起因しない筋萎縮、筋力低下がCOPDにおいては発生している事実を示すことができたという点で非常に意義のある成果であると考える。さらにはCOPDにおいて骨格筋の形態学的変化が運動耐容や身体活動量の低下をもたらしていることを示唆する結果が得られたことから、COPDの治療戦略において、積極的な骨格筋トレーニングの実施が必要であるということを再確認するための裏付けとなるデータが示せたと考える。さらには、今後の研究課題である在宅での骨格筋電気刺激トレーニングの効果を検証するための基準となるデータが得られたことも成果として挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画当初より、COPDの骨格筋障害の調査と在宅骨格筋電気刺激トレーニングの介入効果の検証という2段階での研究計画で本研究を進めている。現在は1段階目がほぼ完遂できている段階であり、2段階目の介入研究も数例開始している。おおむね予定通り進んでいるが、介入症例がまだ少なく当初の予定よりは進捗がやや遅れているのは否めない。
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今後の研究の推進方策 |
今後も継続して、新たなCOPD患者の骨格筋の分析を継続するとともに、初期の評価が終了した患者に対しては、在宅での骨格筋電気刺激トレーニングの介入研究を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度においては、評価計測に必要な材料を購入しなかったこと、生化学検査をまだ実施していないこと、さらには骨格筋電気刺激トレーニング介入をほとんど開始していないため、予定よりも電気刺激装置の購入数が今までのところ少ないことが挙げられる。 次年度は、評価計測に必要な材料、生化学検査の発注、症例数分の在宅用小型電気刺激装置の購入、国内外での成果報告等を予定しているため、それらの費用に充当したいと考えている。
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