研究課題/領域番号 |
25870342
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山崎 岳 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (60378883)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 倭寇 / 明朝 / 中国 / 朝鮮 / ポルトガル / 海賊 / 東アジア / 国際関係 |
研究実績の概要 |
26年度の研究実績を以下に記述する。 9月に史料編纂所共同研究「日本におけるフランシスコ・ザビエルの足跡に関する文献・絵画史料の比較検討」調査団に同行し、スペインのバスク地方に、イエズス会宣教師の史跡調査に加わった。調査を通じて、東アジア海域へのバスク人の関わりについて貴重な知見を得ることができた。 5月には、文科省科研基盤研究(A)「グローバル化時代のアジア・ネットワーク地域社会変容:ジャワ海港都市を事例として」(代表:籠谷直人)と合同で研究会を開催し、倭寇に関する著書『嘉靖倭寇の研究(仮題)』の構想を発表した。 また、7月には台北の中央研究院で開かれた国際シンポジウム「大航海時代的臺灣與東亞」において、16世紀南シナ海域の海賊と官軍の招撫政策に関する報告を行った。8月にはカナダのヴァンクーヴァーで開かれた国際ワークショップ「朝鮮の戦争に巻き込まれた明」において、豊臣秀吉の朝鮮出兵に際しての明朝と朝鮮の水軍の動向に関する報告を行った。9月には、再び台北の中央研究院で開かれた海洋史国際シンポジウム「亞洲海域間的信息傳遞與相互認識」において、16世紀の遣明使策彦周良と寧波の文人豊坊の交流に関する報告を行った。 さらに、2月には人文科学研究所の共同研究班「「東アジア近世の地域をつなぐ関係と媒介者」において、秀吉の朝鮮出兵時に秀吉と行った文書についての分析を行った。3月には、台湾の成功大学において、秀吉が小琉球および高山国に発した文書を紹介し、その世界征服構想に関する学術講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度は、情報発信に多くの力を注いだため、資料調査、および現地調査について、計画時の目標を実行することはできなかった。しかし、研究会・シンポジウム等における報告と出席者との質疑応答を経て、この研究に予想以上に大きなはずみをつけるような貴重な成果を得ることができた。特に、台湾での複数回のシンポジウム・講演会で行った発表は、本研究の成果を中国語圏の研究者と共有するための非常によい機会であったと考える。当初の研究計画からはやや軌道修正したものの、全体としてはおおむね順調に研究を遂行することができたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
27年度は、最終年度であることから、数篇の論文の執筆を同時進行で進めている。また、7~9月には、史跡の現地調査と、それによる地理情報の整理を行う。年度末には、関連する研究成果をAASにおいて英語で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は先方負担の学会発表が続いたため、旅費を科研費から支出する必要が生じなかったため、繰り越しが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は夏期・冬期の休暇期間を中心に本格的に中国での現地調査を行う。
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