マダガスカル西部の熱帯乾燥林で大型種子植物2種における動物による種子散布の有効性を評価した。両樹種とも最大の果実食者であるチャイロキツネザルだけが大きな種子を飲み込んで母樹から種子を運び出した。乾季に結実するセンダン科の1樹種では、母樹が生産する種子の60-90%がチャイロキツネザルによって運ばれた。両樹種にとってチャイロキツネザルは種子を散布する段階で大きく貢献しているが、結実時期や種子形態、発芽の仕方の違いによって散布後の実生の生存率や成長速度が2樹種間で大きく異なるため、植物側の繁殖戦略における動物種子散布の有効性や意義も樹種ごとに異なることが示された。
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