研究課題
若手研究(B)
本研究の目的は、ブータン王国において生活の場に根ざした持続可能な高齢者健診体制を構築し、地域住民の保健・福祉に寄与しながら、その実践を通じて、高齢化を来す我が国及び世界の国々の保健政策のあり方にヒントを提示することである。現在、ブータン王国保健省と協力しながら高齢者健診の導入を進めている。本年度は本科研費から旅費を支給して中央ブータンのブムタン県のチュメイ診療所及びタン診療所にブータン各地から県保健局長や保健師など約20名が集まり、話し合いながら、健診のトレーニングを行った。話し合いの中で健診方法について様々な修正を行った。例えば、遠い山奥から長時間歩いて参加する高齢者の現実に即して、糖尿病のスクリーニング方法として今まで採用していた空腹時血糖を随時血糖に切り替えることになった。チュメイ診療所とタン診療所では、その管轄する地域に暮らす65歳以上の高齢者の約6割にあたる計268名に対し実際に健診を行った。これらの地域に暮らす残りの高齢者や参加者が所属するブータン各地の高齢者に対して、現地スタッフの手によって引き続き、健診が行われている。また、本科研費から旅費を支給してブータンの診療所から1名の保健師を日本に招いた。その機会を利用して高知県土佐町で行われている長寿健診やワークショップに参加した。本研究を進める上で、ブータン現地において高齢者健診体制を構築を担うスタッフが、高齢化率4割に達する土佐町の高齢者ケアの現状を直に把握することは極めて重要であると考えている。
2: おおむね順調に進展している
今回私が実際に行った健診場所は計画書にあるタシガン県カリン地区ではなくブムタン県のチュメイ地区及びタン地区となった。計画は保健省の協力を得なければ成り立たず、保健省の求めに応じてこれらの地区が選択された。カリン地区においても現地スタッフの手により健診は行われており、計画を進める中で、保健省との信頼関係もさらに強まっているため、目的はおおむね順調に進展していると判断している。
生活の場に根ざした持続可能な高齢者健診体制を構築するためには、現地スタッフの動機づけが最も大事なものの一つであると認識している。今後も現場の意見を大事にしながら計画を柔軟に修正していきたい。現段階で、このまま現地での健診の実施、結果の分析、フォローアップ、意見交換、方法の修正、健診の継続というサイクルを続けていきたい。また、現地スタッフの招へいも続けていきたい。
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