研究課題/領域番号 |
25870352
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横尾 亮彦 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70420403)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 阿蘇山 / 中岳第一火口 / 噴火 |
研究実績の概要 |
本研究は、阿蘇山中岳第一火口に存在していた湯だまり下で恒常的に発生しているごく小規模な熱水流入現象を明らかにし、その上位規模現象である土砂噴出や水蒸気爆発の現象理解を進めようとしたものである。しかし、本研究課題の開始直後以降火山活動の活発化が見られ、湯だまりがほとんどない状態で推移した。そして、2014年1月に火孔開口があり、その後小規模噴火活動を繰り返す中、前回の1989年~1995年の噴火活動からおよそ20年ぶりとなる本格的な噴火活動が2014年11月25日から始まった。2015年4月現在,噴火活動は第一火口底中央部に開いた141火孔に限定されており,第一火口南壁における熱活動は従来と変わらない.今回の一連の噴火活動の諸端は、2014年1月の火孔開口イベントだという見方もできる。そこで、2013年11月から3ヶ月間の連続微動の解析を行い、その震源位置を明らかにした。解析には5~10 Hzバンドパス波形の微動振幅を使用した。振幅微増期には火口下に推定されているクラック状火道上端部およそ300 mほどにあった震源が、振幅急増期には火口直下100 mほどの位置にまで上昇する。震源分布には若干の空間的なギャップがあり、熱水たまりに相当する領域であると考えられる。火孔開口、表面現象開始と同時に微動振幅は急減しバックグラウンドレベルにまで戻る。これらのことから、噴火に向けた熱流体の流量フラックス増加をまかなうために、火道の拡大が起きていたものと考えられる。なお、現在継続中の噴火活動についても、個々のイベント把握、ならびに現象の特徴抽出が重要であることから、噴火活動モニタリングには、これまでに構築・増強した空振観測網を利用した。また、レーザー距離計を使用した火口内地形測量も行い、現在の活動火孔のサイズを50 m、火砕丘リム直径を120~130 mであることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の開始直後以降火山活動の活発化が見られ、湯だまりがほとんどない状態で推移した。そして、2014年1月に火孔開口があり、その後小規模噴火活動を繰り返す中、前回の1989年~1995年の噴火活動からおよそ20年ぶりとなる本格的な噴火活動が2014年11月25日から始まった。実施内容を変更せざるを得ない状況ではあるが、2014年1月に発生した小規模噴火活動に前駆する微動発生位置の推定を行い、火孔開口に至った状況を推定するなど、研究目的の達成に貢献できる成果をあがることができている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題で構築した観測体制を維持しつつ、現在進行中の噴火現象についての理解をすすめる。特に、地震・空振記録の解析作業に注力し、中岳第一火口底浅部の火道内プロセスについての理解を深める。
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