本研究では,鉱物の析出が生じる環境下で,フラクチャー修復と開口保持が実現できる条件を室内試験で見出すことにより,岩質材料の長期強度と浸透性の制御技術の構築を目指した。特に,温度・湿度や水質を制御して力学試験を行い,フラクチャー修復・開口保持の周辺環境依存性を調べた。 本年度では、X線CTや顕微鏡観察、破壊力学試験を用いることによって,フラクチャー修復や開口保持に及ぼす影響因子を調べた。X線CTによって、岩質材料(コンクリートや岩石)内部を非破壊で観察でき,顕微鏡では微視的な観察が実現できた。 さらに,フラクチャーの密度や連結性を考慮したモデルで理論計算を行い,岩石の長期強度に関するモデル計算を行った。その結果、水が岩石の長期強度に強く影響することが示され、また、イオン濃度が粘土を含む砂岩の破壊に影響を及ぼすことが示された。 これらの成果により,フラクチャー修復と開口保持による「フラクチャーコントロール」が実現でき、長期強度と浸透性に及ぼす影響を解明することができた。特に、周辺環境をコントロールすることによって、岩質材料の長期挙動を制御することができることを示した。
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