生体内では組織幹細胞は特別な微小環境(ニッチ)内に存在し、それにより幹細胞の機能が維持されている。腸上皮では、パネート細胞が幹細胞と隣接して存在し、幹細胞の維持に必要な因子を分泌している。この際、幹細胞はこれらの因子を十分に受容できるように、活発に移動し、パネート細胞とモザイクパターンを形成する。本研究では、この幹細胞移動を制御する機構の一端を解明し、特にYAP-TEAD複合体が重要な働きをすることを示した。この成果は、幹細胞がニッチ内に静的に存在するという従来のイメージを覆すものであり、幹細胞移動の制御が組織恒常性に重要であることを示唆するものである。
|