「絵を描くことの認知的な基盤とその発達」についての研究を発展させて、ヒトはなぜ描くのかという進化・発達論的な問いについての考察を深めた。チンパンジーの自発的な物遊びの発生過程を観察し、ふり遊びと描画時の描線への見立ての想像力の関係を考察した。また写実的に描くのがなぜむずかしいのかを明らかにするため、図形模写時の視線と描線の動きを計測し、周辺視野を測定する方法を検討した。これらの研究から得られた知見、および先史美術やアール・ブリュット等に関する資料調査にもとづいて、芸術の認知的な基盤について多角的な視点から考察し、美術教育における具体的な応用方法についての実践的な検討や提案をおこなった。
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