研究課題/領域番号 |
25870375
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
粟屋 智就 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20589593)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 疾患iPS細胞 / 遺伝性筋疾患 / 神経分化 / 心筋分化 / 骨格筋分化 / 筋ジストロフィー / ポンペ病 |
研究概要 |
本研究では遺伝性筋疾患であるDMDおよびPompe病の患者由来iPS細胞を用いたin vitroでの病態再現を主題とし、神経細胞、心筋細胞、および骨格筋細胞の3系統の細胞系譜のin vitroでの解析を短期目標とした。当初の研究計画においては平成25年度中に(1)樹立iPS細胞の品質評価、(2)骨格筋、心筋、神経細胞の分化誘導法の確立、(3)DMD-iPS細胞およびPompe-iPS細胞を用いた病態再現・評価、の3項目をあげ、平成26年度において(4)DMD-iPS細胞を用いた病態解析・治療法開発、(5)Pompe-iPS細胞を用いた病態解析・治療法開発へと進めることとした。 当初は全ての細胞株において(1)を終えた後に(3)へと進む計画であったが、疾患iPS細胞を用いた研究を前倒しして(2)と(3)を同時に進められるよう計画を変更し、(1)については使用する細胞株を順次解析することとした。現在、DMD-iPS細胞は神経分化誘導、心筋分化誘導を行い、細胞外電位計測装置およびCaイメージングを用いて正常コントロールと比較して有意な差異を認める実験系を構築した。またPompe-iPS細胞は骨格筋分化誘導を行い、形態学的、酵素学的に正常コントロールと比較して有意な差異を認める実験系を構築した。平成26年度はこれらの実験系を用いて詳細な病態評価が可能であるかを検討し、病態を改善する薬剤や小分子化合物の検索を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要に述べたように、当初の計画と研究計画の順序を変更した。平成25年度の目標としてあげた(1)樹立iPS細胞の品質評価、(2)骨格筋、心筋、神経細胞の分化誘導法の確立、(3)DMD-iPS細胞およびPompe-iPS細胞を用いた病態再現・評価、平成26年度の目標としてあげた(4)DMD-iPS細胞を用いた病態解析・治療法開発、(5)Pompe-iPS細胞を用いた病態解析・治療法開発、のうち、既に(3)から(4), (5)の段階に入りつつあり、一定の成果を上げている。一方で(1)については樹立した全ての細胞株について検討出来ておらず、今後も並行して進めていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、骨格筋、心筋、神経細胞の3系統において、疾患iPS細胞と正常コントロールiPS細胞で有意な差を検出しうるin vitroでの分化誘導法の確立を進める。現時点ではDMD, Pompe病における中心標的臓器である骨格筋細胞、心筋細胞のin vitro分化誘導を先行しているが、神経系細胞においても病態解明につながる分化誘導系の構築を進める。また、既に成功しているDMD-iPS細胞の心筋分化誘導、病態解析系においては細胞外電位計測やCaイメージングでみられた変化が薬剤負荷や小分子化合物により改善しうるか、Pompe-iPS細胞の骨格筋分化誘導、病態解析系においては蓄積したグリコーゲンが酵素補充により改善しうるか、重症度を改善しうる薬剤や小分子化合物はないか等を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
概ね予算枠内で執行しているが、国外出張を取り消したため当初の旅費を今年度執行しなかった。 次年度の旅費として使用予定である。
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