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2013 年度 実施状況報告書

多様な昆虫ゲノム比較へ向けた情報学的基盤形成

研究課題

研究課題/領域番号 25870379
研究種目

若手研究(B)

研究機関東京工業大学

研究代表者

小寺 正明  東京工業大学, 生命理工学研究科, 講師 (90643669)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード昆虫 / ゲノム / 鱗翅目 / オーソログ / 遺伝子 / 次世代シークエンサー
研究概要

本研究は鱗翅目昆虫の多種のゲノムを広く解読することを目標としているが、当年度はナミアゲハおよびナガサキアゲハに焦点を絞り、そのゲノムDNAを次世代シークエンサーMiSeqで解読し、ABySS、SOAPdenovo、Velvet、Platanusなど他種のゲノムアセンブラーを用いてアセンブル計算を行なった。しかしながら、配列アセンブルの評価指標であるN50値がどれも数千(数k)塩基にとどまるなど、当初想定していたよりもアセンブルがうまくいかないことが明らかとなった。そこで、アゲハからのゲノム抽出や精製方法を検討するとともに、MiSeqにより得られた配列の特徴を解析した。バイオインフォマティクス解析ツールのひとつであるKAASを用い、MiSeqにより得られた(アセンブル前の)リードを既知配列に対し類似度検索を行なったところ、そのリードの大多数はミトコンドリア由来の遺伝子配列およびトランスポゾン関連の遺伝子であることが判明した。鱗翅目昆虫ではW染色体にレトロトランスポゾン構造がある例が知られており、今回の研究対象であるナミアゲハおよびナガサキアゲハにおいても、これまでの解析は全て雌を用いたため、このトランスポゾンの存在が原因である可能性が考えられる。今後は雄に対して同様の配列解析を行ない検証する他、Platanus等のアセンブラの条件設定を検討し、ゲノム解読の精度を向上させる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

配列アセンブルの評価指標であるN50値がどれも数千(数k)塩基にとどまるなど、当初想定していたよりもアセンブルがうまくいかないことが明らかとなった。そこで、アゲハからのゲノム抽出や精製方法を検討するとともに、MiSeqにより得られた配列の特徴を解析した。バイオインフォマティクス解析ツールのひとつであるKAASを用い、MiSeqにより得られた(アセンブル前の)リードを既知配列に対し類似度検索を行なったところ、そのリードの大多数はミトコンドリア由来の遺伝子配列およびトランスポゾン関連の遺伝子であることが判明した。鱗翅目昆虫ではW染色体にレトロトランスポゾン構造がある例が知られており、今回の研究対象であるナミアゲハおよびナガサキアゲハにおいても、これまでの解析は全て雌を用いたため、このトランスポゾンの存在が原因である可能性が考えられる。

今後の研究の推進方策

今後は雄に対して同様の配列解析を行ない検証する他、Platanus等のアセンブラの条件設定を検討し、ゲノム解読の精度を向上させる予定である。また、本研究の目的は多種の鱗翅目昆虫ゲノムからオーソログ遺伝子の有無を調べることにあるので、ゲノム配列の完成度は高いに越したことは無いが、現在の完成度で種数を増やして進めるよう方針転換することも可能である。

次年度の研究費の使用計画

MiSeqにより得られた配列データのアセンブル計算が当初計画していたより進まず、ゲノムDNAの調整手法の検討およびアセンブル条件の検討に時間を費やすこととなった。このため、本研究において最も費用のかかるプロセスである、多種の鱗翅目昆虫に対するMiSeqによるゲノム解読を始められないまま初年度を終えることとなった。
ゲノムDNAのアセンブル計算は精度が高くなるに越したことはないので、初年度はその向上を検討した。しかしながら、本研究の本来の目的である鱗翅目昆虫のオーソログ研究は、現在の精度のままで続けることは十分可能である。次年度は当初の計画通り、多種の鱗翅目昆虫のゲノムDNAを解読してオーソログの有無および食草との関連について解析する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (7件)

  • [学会発表] アゲハチョウ科昆虫ドラフトゲノムの解読2014

    • 著者名/発表者名
      武藤愛、尾崎克久、守屋勇樹、五斗進、小寺正明
    • 学会等名
      第58回応用動物昆虫学会大会
    • 発表場所
      高知大学
    • 年月日
      20140327-20140328
  • [学会発表] Development of a Cross-species Search Database for Insect Genes.2014

    • 著者名/発表者名
      Masaaki Kotera, Katsuhisa Ozaki, Ai Muto, Susumu Goto.
    • 学会等名
      第58回応用動物昆虫学会大会
    • 発表場所
      高知大学
    • 年月日
      20140327-20140328
  • [学会発表] アゲハチョウ食性進化の仕組み2014

    • 著者名/発表者名
      尾崎克久、龍田勝輔、武藤愛、小寺正明、吉澤靖貴、吉川寛
    • 学会等名
      第58回応用動物昆虫学会大会
    • 発表場所
      高知大学
    • 年月日
      20140327-20140327
  • [学会発表] Development of lepidopteran insect ortholog database.2013

    • 著者名/発表者名
      Ai Muto, Katsuhisa Ozaki, Susumu Goto and Masaaki Kotera.
    • 学会等名
      The 24th International Conference on Genome Informatics
    • 発表場所
      National University of Singapore
    • 年月日
      20131216-20131218
  • [学会発表] Construction of an ortholog database of lepidopteran insects.2013

    • 著者名/発表者名
      Ai Muto, Katsuhisa Ozaki, Susumu Goto and Masaaki Kotera.
    • 学会等名
      第36回に本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      20131203-20131206
  • [学会発表] Development of a Cross-species Search Database for Insect Genes.2013

    • 著者名/発表者名
      Ai Muto, Katsuhisa Ozaki, Susumu Goto and Masaaki Kotera.
    • 学会等名
      2013年日本バイオインフォマティクス学会年会
    • 発表場所
      タワーホール船堀
    • 年月日
      20131029-20131031
  • [学会発表] チョウ目昆虫オーソログデータベースの構築2013

    • 著者名/発表者名
      小寺正明、武藤愛
    • 学会等名
      NGS現場の会第3回研究会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      20130904-20130905

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公開日: 2015-05-28  

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