研究課題
H27年度も原子炉が動かなかったため、原子炉を使わないで本研究に関与する実験を行った。γH2AXの発現に関してはcell lineによって、異なることが知られている。よって本研究ですでに使用した既知のcell line U251以外の、アメリカオハイオ州立大学および金沢大学脳神経外科の手術で摘出したヒトグリオブラストーマ組織より樹立したprimary cultureのcell lineについて、γH2AXの発現を調べる予備実験に取り組んだ。また樹立したcell lineをヌードマウスに移植してヒトと同様のグリオブラストーマを腫瘍形成するかを確認した。今後はこの樹立したprimary cultureのcell lineとそれをヌードマウスに移植した脳腫瘍モデルに中性子線照射を行いγH2AXの解析を進めていく。また、中性子捕捉療法後に正常の脳組織中に生じるDNA二本鎖切断が、時間経過を経た晩期障害(放射線脳壊死)とどう関与するかを明らかにすることが臨床上非常に重要であるため、マウス脳壊死モデルの作成に取り組んだ。マウスの限られた容積の脳に脳壊死を作るために、若狭湾エネルギー研究センターにてブラッグピークを形成する陽子線ビーム(70MeV)を用いて脳壊死モデルを作成した。4 mm SOBP 60 Gyを右脳の5mm×10mmの範囲で照射し、1か月ごとにMRIでフォローアップし、T2強調画像で著名な変化があった時にサクリファイスして脳を摘出、HE染色にて組織を調べた。7-8か月経過するとヒト放射線脳壊死に似た脳壊死が発症することが明らかとなった。今後はマウス脳壊死モデルを用いて照射30分後、24時間後、7日後にγH2AXの発現を調べて脳壊死との関連を探っていく。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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