ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)では硼素化合物を患者に投与し、熱外中性子を患者の患部に照射する。腫瘍選択的に取り込まれた硼素(10B)に中性子が照射されるとα粒子とLi原子核に分裂するので、その分裂の際に生じる高LET放射線で腫瘍細胞を選択的に破壊する。高LET放射線はγ線などの低LET放射線に比べて修復されない致命的なDNA二本鎖切断(DSB)を生成すると考えられている。本研究ではBNCTで生じるDSBをそのマーカーであるγH2AXを指標にマウス脳腫瘍モデルの免疫組織染色で調べた。BNCTで生じたDSBは24時間後も修復されず残ったが、γ線成分によるDSBは消失した。
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