本年度は硬化機構の詳細な検討を行った。はじめに、炭酸アパタイトへの相変換の経時変化をX線回折(XRD)にて調査した。カルサイトを粉末成分として用いた場合は、24時間後で約50%が炭酸アパタイトに変換されたが、10日後においても80%しか炭酸アパタイトに変換されれなかった。一方、バテライトを粉末成分を用いた場合は、24時間後に90%が炭酸アパタイトに変換され、48時間後にはほぼ完全に炭酸アパタイトに変換された。これは、バテライトの溶解性が高いため、系中により高濃度のカルシウムイオン、炭酸イオンが供給されることで、溶解析出反応が加速されたためである。 24時間反応後のセメント硬化体の表面構造をSEMにて観察したところ、0.5μm程度のマイクロポアが観察された。気効率は60%程度であり、マイクロポア形成のため、比較的疎な硬化体であった。
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