研究実績の概要 |
骨欠損モデルにて、炭酸アパタイトセメントの吸収性および骨伝導性を評価した。炭酸アパタイトセメントは、粉末部(バテライト、リン酸二カルシウム無水物)、液部(0.1 M Na2HPO4)とした。陰性対照は従来型(水酸)アパタイトセメント(TTCP, DCPA)とした。ラット脛骨に直径4 mmの骨欠損を作製し、それぞれ練和したセメントを埋入した。30, 60, 180日後に、マイクロCTを撮像し、吸収性および骨伝導性を観察した。30日後、炭酸アパタイトセメント、水酸アパタイトセメントともに表面に、薄い新生骨が一部認められた。60日後、水酸アパタイトセメントは完全に骨欠損部が回復しなかったのに対して、炭酸アパタイトセメントではほぼ完全に欠損部が封鎖された。180日後、炭酸アパタイトセメントでは、骨の連続性が完全に回復するとともに、骨質も周囲骨とほぼ同等に観察された。しかしながら、病理組織観察にて詳細な検討ができておらず、今後の課題として残った。一方、水酸アパタイトセメントは欠損部の完全な回復は認められなかった。180日後においては、どちらのセメントも大きな吸収が認められなかった。これは、硬化後のセメントが比較的密であるあため、セメント吸収を行う破骨細胞のセメント内部への浸潤がほとんど起きないためだと推察した。
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