HApセメントは、硬化中に大気中、体液中より炭酸イオンを吸収し、表層にのみ骨類似成分である炭酸アパタイト(CAp)が形成することを見出し、HAp表層が新生骨に置換されるメカニズムのひとつとして提唱し、新生骨置換におけるCApの重要性を示した。硬化してCApとなるセメントの創製を行った。粉末成分の炭酸カルシウムを安定相のカルサイトから不安定相のバテライトに置換すると、硬化時間の大幅な短縮、CApへの転化効率の向上が認められた。動物実験にて、CApセメントは従来型HApセメントより優れた骨伝導性を示した。CApセメントの優れた骨伝導性と形態形成性を兼備した新規な骨補填材として期待される。
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